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専業トレーダー DaTsU

火中へ飛び込む思い切り、海中へ飛び込

牛田権三郎も本間宗久も同じ江戸時代の人間であるが、相場で成功したとい
う共通点もあり、同じような事を言っているところも結構あります。今回は
「逆張り」という事を考えて見たいと思います。本間宗久は「逆張り」をする
には非常に勇気のいることですが、そういう時こそ儲かるものだというのです。

 「米、段々上がる時、諸国不時申し出し、大坂相場も加え、跡も引き上げ候
沙汰、御蔵米など申し立て、なおなお上げ、人気も強く、我も買い気に付き候
節、心を転じ売り方に付候事肝要なり。是すなわち、火中へ飛び込む思い切り、
一統騒ぎ立つ節は、人々西に走らば、我は東に向かう時は極めて利運なり。」

 「相場が段々上昇してあちこちでいろいろと強気な話が聞こえだし、大阪相
場の動きも強気となり、備蓄米の話題まででて、それでもなお相場が強く、人
気もあり、自分も買い出動したくなったようなときは、自分の気持ちとは反対
に売りに回ることが大事である。これは火の中に飛び込むくらい勇気のいるこ
とであるがこれが正解である。大騒ぎして人々が西に走っている時は自分は東
に向かうと非常に儲かるものである。」ということを言っているのですが、非
常に核心をついた言葉だと思います。上昇の場合も下落の場合も熱狂相場の中
にいると案外自分というものが見えず、人と同じようにやっていれば儲かると
思うようになってしまいます。最初の1~2回はそれでいい思いが出来るかも知
れませんが、最後には高値掴み、底値で売ったということになりかねません。
ただ、人が西に行ったからと行って、むやみに東に行くのも考え物で、南がい
いか、北がいいかほんとに東でいいのか、よく確かめる必要があります。人の
言動に惑わされずに自分の考えで投資する目を養うべきだと思います

 「米段々下げ、上方相場替わることなく、諸国並びに最上払い物沢山の風聞、
人気も揃い弱く、何程下がるも知れ難く、我が考えも弱かるべしと思う節、心
を転じて買い入るべきなり、この思い切り、海中へ飛びいる心持ち、はなはだ
成りにくきものなれども、その節疑いの気を生ぜず買うべし、極めて利運なり。
下げと見込む時、思い入れの通り下がるものなれば心易きものなれども、人気
下がると片寄る時、かえって上がるもの故、考えに及ばざるなり。上げも同断、
すなわち海中に飛び込む心持ち、極意なり。」

 これは先ほどの反対で下げ相場の場合の処し方をのべたもので、「相場が段々
下がり、上方での相場も変わることなく、全国各地で、また、最上などの米ど
ころでさえ払い米があるなどの噂も流れ、人気もなく弱気一辺倒でどの程度下
がるのかもわからないような状況で、自分の考えも『この相場は弱いだろう』
と思うようなときは、心を転じて買いに出るべきである、この時の気持ちは海
に飛び込むような気持ちで、非常にやり難いことだけれども、何も考えずに買
うべきである。そうすれば必ず儲かるものである。下がる思った相場がその通
り下がれば非常に楽であるが、人気が下がる方に片寄るような時は反対に上が
ることが多いものである。考えるまでもないことである。海に飛び込むように
思い切る事が極意である。」というように言っています。つまり、これも先ほ
どと同じように逆張りの効能をといているもので千利休の言とされる「人の行
く裏に道あり花の山」ということなのです。ただ、ここでも単に人の反対をや
れば良い、と言うのではなく、相場を真摯に見つめて「相場を相場から聞く」
ようにすればいいと言うことです。相場に聞けば必ず、「もう天井だ」とか
「もう底だからいいだろう」ときっと教えてくれるはずです。

※今回は逆張りの発想、自分がまだ上に行くだろうと思っているときが天井で
自分がまだ下がると思うときはもう底である、と言うことを言っています。必
ずしも皆が間違えるわけではないと思いますが、往々にして人と反対の方が正
解のことが多いと思います。市場でよく言われるのは、相場をやっている人で
実際に儲かっているのは全体の5%で残りの95%の人は損をしているというこ
とで、今回述べたことと同じだと思います。ぜひ、このことを肝に銘じ、買い
に出るとき、売りに行くとき、今ひとつ考えてみたいものです。



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